太陽系惑星の中でひときわ美しく青く美しい水の惑星「地球」。なぜ地球にだけ海があり、大気があり、大陸があるのでしょうか? 3000万種とも言われる多種多様な生物を育んだ地球。どうして生命というものは誕生したのでしょうか?
「私たちはどうしてここにいるのか?」と考えた時、人類の祖先に思いを馳せる旅にとどまらず、生き物が生き物として存在する生命現象、生命の誕生にまで遡っていきます。
太陽系、そして地球が誕生して以来の物質の環境とさまざまな生命の調和。生命は40億年という気の遠くなるような長い時間をかけて、見事な関係性をつくり出してきました。しかし、このバランスが徐々に、いや、加速度的に崩れ始めています。それは、人類を含む生命、そのものの滅亡へのプロローグなのです。
人類は大きな転機にさしかかっています。爆発的に増え続ける人口。21世紀、100億の人々を養う食料とエネルギーはいったいどうするのでしょうか?ダイオキシンをはじめとする環境汚染、温暖化など過酷な破壊、人類がもたらすエントロピーに地球は耐えられるのでしょうか?
生命の歴史は絶滅への歴史でもあり、かつて生きてきた種の99.999%は絶滅しています。
地球が誕生し、最初の生命が誕生したとき、この地球は灼熱と猛毒の世界だったと言われています。文字通りエントロピーだらけだったわけです。海と言っても硫酸の海ですから、私たち人間は1分たりとも生き続けられない過酷な環境だったわけです。しかし硫酸の海の中から生命は誕生し、子孫を増やしていきました。硫酸に生きていた微生物がいるわけです。
そして太陽エネルギーを取り入れ、光合成をする微生物が登場して青い地球に変えてきました。
この小さな生命、微生物たちは刻々と変わる地球の新しい環境の中で、多様な生命の世界をその後つくりあげることになります。シアノバクテリアの大繁殖、いわば地球最初の人口爆発とでも言いましょうか、これによって硫酸の海は酸素を含んだ海となり、他の微生物の劇的な変化をもたらします。一例をあげれば、嫌気(酸素以外の気体と反応する)の生命と好気(酸素と反応しエネルギーに変換できる)の生命が合体し、細胞に核を持つに至るなど、革命的な飛躍を成し遂げていきます。
このようなひとつの歴史は、私たち人類が直面していることと同じような課題を乗り越えてきた、歴史ドラマなのです。次の時代を生きるために、生命は共に生きるという選択をします。
数十億年前の生命たちが、共に生き次代に生き続けることを私たちに教えてくれています。地球と生命の過去の歴史をふり返りますと、このように生命と生命が共に生きるだけではなく、生命と地球の自然環境そのものが、お互いに影響し合いながら共に生きて行ることがわかります。地球というひとつの巨大なシステムの中で生命と生命、生命と地球が互いに連関しながら今日まで進んできたといえるでしょう。
私たちが考える「蘇生回帰」とはまさにこのことを言うのであり、「蘇生回帰の科学」とは、この共存、共栄、共生ということの今日的実践なのです。
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